アフリカ出身のIT人材は世界でどう活躍するか:サイバーセキュリティ専門家が語るグローバルなテックキャリアの築き方

Wecrinウェビナーシリーズ 第1回 開催レポート
グローバルなキャリアは、海外で仕事を得たときに始まるのではありません。今いる場所で、次に解く価値のある課題を選んだときに始まります。2026年10月17日にオンラインで開催したWecrinウェビナーシリーズ第1回のメッセージです。
ゲストスピーカーは、ナイジェリアから米国へとキャリアを築いてきたサイバーセキュリティコンサルタントのSamuel Ashaoluさん。参加者はナイジェリアのラゴスやエヌグ、インド、イエメン、フィリピンなどから集まり、AI、プロジェクトマネジメント、テックセールス、採用、教育と多様なバックグラウンドを持つ方々でした。
本レポートでは、Samuelさんの歩み、彼が語った5つの原則、そしてQ&Aのハイライトをお届けします。
スピーカー紹介:「イエス」を重ねて築いたキャリア
Samuelさんは、最初から完璧な計画があったわけではないと率直に語りました。歩みは次のとおりです。
ナイジェリアでのエンジニアリングの基礎:電気工学の学士号を取得し、電気機械・通信分野でインターンを経験。
石油・ガス業界での企業ネットワーク:IT・通信システムの構築、Active Directory、ネットワークセキュリティ、ルーター、スイッチ、WAN/SD-WANを担当。
テックセールス(2019年):SaaSスタートアップで、Wecrin代表のもと、技術ソリューションを意思決定者向けのビジネス価値に翻訳する力を磨く。
研究とITサイバーセキュリティの修士号:ブロックチェーン、スマートコントラクト、サイバーセキュリティに関する論文を発表。
国際的なコンサルティング:2025年に欧州企業向けのサイバーセキュリティコンサルティングを手がけ、ISC2の委員会メンバーにも。
転機は、指導教授からサイバーセキュリティを勧められたことでした。学びを広げる機会には「イエス」と言うこと。そして目的地だけでなく、A地点からB地点へ進むプロセスに目を向けること。それがSamuelさんの教訓です。
国境を越えるキャリアのための5つの原則
1. 課題を考え、解決策を考え、機会を考える
サイバーセキュリティでもAIでも人事でも研究でも、国境を越えて通用するのは課題解決のマインドセットです。サービスがうまくいかない、企業が市場から撤退する。そうした出来事の「なぜ」に、次の誰かのチャンスがあります。
2. いまいる場所から始める
参加者からは、米国、英国、スウェーデン、湾岸諸国、日本などが目標の行き先として挙がりました。海外の機会は確かにあります。ただ、課題と機会は自分の街にもあります。地元のインターン、テックハブ、コミュニティ、ボランティアが、グローバルキャリアの土台になります。才能は均等に分布しているが、機会はそうではない。スライドにはそんな言葉もありました。
3. 資格よりも「見える実績」
コンサルティングのキャリアは、一つの肩書きや資格ではなく、価値を出した実績の積み重ねで築かれます。学んだことはプロジェクトやポートフォリオにして、採用担当者が検索したときに見える形にしましょう。Forage、Microsoft Learn、IBM SkillsBuildなど、無料で実践的なラボを使えるプラットフォームから始められます。
4. 一つの道を選び、深く掘る
専門分野を渡り歩くと迷いが生まれます。一つの分野を選び、基礎を固め、深く掘ること。サイバーセキュリティなら、あらゆるニッチに手を出す前に、ネットワークの基礎やOSI参照モデルから。新しいAIツールをすべて追いかける必要もありません。必要なことを知っていれば十分です。
5. すでに自分が目指すことをやっている人の近くに行く
一番の近道は、自分が目指すことをすでにやっている人を見つけ、そこから学ぶこと。Samuelさんは、青木のもとで働いた経験からクライアントとのコミュニケーションを学んだと振り返りました。一人で進む道ではないからこそ、メンターとコミュニティが大切です。
グローバル企業が本当に見ているもの
差は技術力だけではありません。国境を越えて採用する企業が見ているのは次の点です。
明確なコミュニケーション(自分のスキルを相手にわかる言葉で説明する力を含む)
期限を守る、確実なデリバリー
課題解決の実績
ドキュメンテーションの力と、守秘義務を含む倫理観
仕事を評価しやすくするポートフォリオ
Samuelさん自身、海外に移ってから最も苦労したことの一つが、自分の価値を伝えることだったそうです。
Q&Aハイライト
Q. テック業界にはどう入ればいいですか?
A. 決まった一本道はありません。看護師からサイバーセキュリティへ、会計士からデータ分野へ移った人もいます。まず、自分が何を知っていて、何ができ、何を伸ばすべきかを棚卸しすること。そのうえで同じ道を進む人を見つけ、コミュニティに入りましょう。
Q. いま、サイバーセキュリティを専門にする価値はありますか?
A. あります。どんな組織にもシステム、ネットワーク、データを守る人材が必要です。AIによって脆弱性の発見や対処も速くなっています。どの領域が合うかは、ご自身の経歴と強み次第です。
Q. Pythonを学び始めたばかりです。サイバーセキュリティとつながりはありますか?
A. 大いにあります。Pythonはスクリプト作成、データ分析、脅威への対処、ペネトレーションテストなどに使われます。大切なのは、実践的なサイバーラボなどで実際のプロジェクトと組み合わせ、自分に合う領域を見つけることです。
Q. 働きながら、中堅ソフトウェアエンジニアからサイバーセキュリティに移るには?資格は必須ですか?
A. 資格は重要ですが必須ではなく、すでに持っている知識次第です。自分は何を知っているか、何が足りないか、いまの仕事に一番近いセキュリティ領域はどこか。この3つを問いましょう。ソフトウェアエンジニアには、ペネトレーションテストが自然な選択肢だとSamuelさんは提案しました。仕事と並行して、ISC2のウェブサイトで資格の道筋を調べるのもおすすめです。
次の一歩:Africa Talent Collectiveに参加しよう
Samuelさんは最後に、ジョン・C・マクスウェルの「与えられたものは、他者と分かち合うためにある」という言葉で締めくくりました。その精神を形にしたのが、意欲あるアフリカの人材と国際的な機会をつなぐWecrinのコミュニティ、Africa Talent Collectiveです。メンバーになると、次のものが得られます。
グローバルな機会:海外の求人、プロジェクト、国境を越えるキャリアパス
キャリア開発:グローバル企業の目に留まるプロフィールづくりのサポート
コミュニティとネットワーク:アフリカのプロフェッショナル、起業家、海外企業との直接のつながり
参加するには、AfricaTalentCollective.comにアクセスし、Apply for verificationをクリック。希望地域(日本、英国、米国、欧州、アフリカ、アジア)を選び、CVをアップロードしてください。
歩みを共有してくれたSamuel Ashaoluさん、そしてご参加いただいたすべての皆さま、ありがとうございました!


