エジプトの新卒人材:グローバル企業が採用前に知っておくべきポイント
- Sama Khaled
- 1月18日
- 読了時間: 6分
世界的に若手人材の獲得競争が激化する中、グローバル企業は従来の採用市場だけでなく、新たな地域へと静かに視野を広げています。
その中でも、近年特に注目を集めている国の一つがエジプトです。

中東有数の若年人口規模を持ち、STEM(理工系)分野の教育基盤も急速に拡大しているエジプトは、テック、エンジニアリング、グローバルオペレーション分野における新卒採用の戦略的拠点として存在感を高めています。
ただし、エジプトの新卒採用を成功させるには、単に求人を掲載するだけでは不十分です。 HRチームには、現地の就職活動の実態、候補者の価値観、そして適切な採用チャネルを理解することが求められます。
本記事では、グローバルHRリーダーが知っておくべき重要ポイントを分かりやすく解説します。
エジプト若手人材の強み:概要
エジプトは、新興国の中でも最大級かつスケーラブルな新卒人材プールを有しています。
年間54万7,000人以上の大学卒業生(2023年/CAPMAS)
高等教育機関に在籍する学生数:約380万人
工学、IT、ビジネス、技術系分野に人材が集中
この規模感は、単発採用ではなく、ジュニアからシニアへと成長する長期的な人材パイプライン構築を目指す企業にとって大きな魅力です。
新卒が経験不足に悩む成熟市場とは異なり、エジプトの若手人材は、グローバル企業・リモートワーク・海外案件をキャリア加速の手段として積極的に求めています。
STEM教育と英語力の強さ
エジプトの高等教育は、技術分野に重点を置いています。
多くの工学・IT系プログラムが英語で、または英語併用で実施
教材・技術文書・研究資料は英語が中心
卒業時点で、実務レベルの英語運用力を備えている人材が多い
カイロ大学やアイン・シャムス大学といった主要国立大学では、毎年数万人規模のエンジニアやIT人材が輩出されており、国際業務に即応可能な人材供給が安定しています。
これは、言語研修が必要な市場と比べ、オンボーディングの負担を大きく軽減します。
エジプト新卒のマインドセット:成長・実務・グローバル志向
エジプトの新卒人材には、いくつか共通した特徴があります。
彼らが求めているもの
早期からの実務経験
Webアプリ、バックエンド、SaaS、顧客向けシステムなど、入社直後から実プロダクトに関わることを期待します。
実力ベースのキャリア成長
年功序列よりも、成果やスキルの伸びを重視。
国際的な経験
グローバルチーム、リモートワーク、越境コラボレーションは大きな魅力です。
学習スタイル
明確な構造やメンターがあれば、吸収が非常に速い
大学の理論中心教育と実務のギャップを埋める意欲が高い
モダンな技術スタック、クラウド、アジャイル開発を自主的に学習
多くの新卒が、次のような意識を持っています。
「成果を出せるなら、外国企業やリモートチームでも構わない。早く成長したい。」
この姿勢は、成長フェーズの企業やグローバル開発チームと非常に相性が良いと言えます。
エンゲージメントと定着を高める要因
学習と成長の機会がある職場では、エジプト新卒の定着率は高い傾向があります。
特に重視されるのは以下の点です。
研修とメンタリング
理論中心の教育から実務への橋渡しを期待しています。
明確なスキルロードマップ 候補者からよく聞かれる質問:
次に何を学ぶべきか?
どの技術・資格が重要か?
1〜3年でミドル〜シニアに到達するには?
成長プロセスを透明化している企業ほど、ロイヤルティとパフォーマンスが高まる傾向があります。
エジプト新卒の主な求職チャネル
効果的な採用には、チャネル選定が重要です。
主な採用プラットフォーム
グローバル志向のポジションでは、LinkedInとWuzzufが最も有効です。 LinkedInでのダイレクトメッセージを活用する企業は、受動的な求人掲載のみの場合と比べて、反応率が大きく向上します。
一般的な採用プロセスと現場で起きている課題
エジプト新卒採用における標準的な採用フローは、以下のような形が一般的です。
求人サイトまたはLinkedInからの応募
一次スクリーニング面談 (グローバルポジションでは英語での対応が前提)
技術テストやタスクベースの課題評価 (特にIT・エンジニア職)
カルチャーフィット面談、または採用責任者との面談
オファー提示・オンボーディング
採用スピードは結果を大きく左右する
優秀な候補者ほど、同時に複数の企業と選考を進めています。
採用完了までに2〜3週間以上かかる場合、意思決定の早い企業に人材を奪われるケースは少なくありません。
多くの求人募集では、業務内容・給与・成長機会に関する情報が十分に示されていないため、応募者は選考のかなり後になってから「期待とのズレ」に気づくことがあります。
また、未経験可とされるエントリーレベルの職種であっても、実務経験を求められるケースが多く、関連する学歴やスキルを持っていても、新卒者が最初の正式な職を得ることが難しくなっています。
採用プロセスも一貫性に欠けることが多く、体系的な評価を行う場合もあれば、非公式な面接や紹介ベースの判断に頼る場合もあります。
さらに、面接後のフィードバックが遅れたり、まったく提供されなかったりすることも珍しくなく、応募者に不安を与え、長期的なエンゲージメントを損なう要因となっています。
これらの課題は、人材不足というよりも、情報の明確さ・透明性・コミュニケーションの不足に起因するものであり、若手プロフェッショナルが企業とどのように関わるかに大きな影響を与えています。
グローバルHR向け:文化・実務面の注意点
明確な期待値と構造化されたフィードバックが高評価
リモート/ハイブリッド勤務は魅力度を大きく向上
入社初日からのキャリア可視化が信頼につながる
プロセス全体での透明なコミュニケーションが成果を左右
なぜエジプトは長期的に有望な採用市場なのか
1. スケーラブルな人材供給
毎年数十万人規模の卒業生により、段階的なチーム構築が可能。
2. 高いスキルアップ意欲
グローバル企業でのポジションを成長機会と捉え、新しいスキルや経験を得ることに貪欲です。
3. リモートワーク経験の蓄積
多くの若手エンジニアがすでに、欧州企業や、GCC諸国
国際アウトソーシング案件での実務経験を持っています。
4. 強固な英語基盤
英語での技術教育により、追加投資なしでグローバルな協業が可能。
5. 日本語学習への関心も拡大中
まだニッチではあるものの、日本志向の人材層も着実に増加しています。
グローバル企業・日本企業への最終メッセージ
エジプトは「短期的な人手不足解消」の市場ではありません。 将来を見据えたエンジニアリングやオペレーション人材への戦略投資先です。
エジプト採用で成果を上げる企業は:
意思決定が速い
成長パスを明確に提示する
研修とメンタリングに投資する
新卒を短期要員ではなく「将来の資産」として扱う
採用アプローチを柔軟に調整できるHRリーダーにとって、エジプトは規模・意欲・国際対応力を兼ね備えた、数少ない有望市場と言えるでしょう。


